オフィシャルブログ

月別アーカイブ: 2026年1月

第24回運送業雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社田仲商事、更新担当の中西です。

 

扱いを誤ると人身事故・環境事故・重大な品質事故に直結するカテゴリーを一挙に整理。ここでは法令を守った上での“現場での型”に集中します(具体の規制・申請は地域・国により異なるため、最新の法規と荷主指示を必ず確認してください)。

 

1. 危険物(化学品・可燃物・高圧ガスなど)
事前準備(絶対)
• SDS(安全データシート)の入手:品名/危険有害性/応急措置/保管・輸送条件。
• UN番号・クラス・梱包等級の確認。必要に応じ表示・票札・区画・隔離を実施。
• 積付け図に危険物位置と相互隔離を明示(酸化剤×可燃物などの相互禁忌を避ける)。
積み方・固定
• 直射日光・熱源から隔離。温度管理が必要な化学品は定温区画へ。
• 液体容器は縦置きが原則。バンド+トレーで漏洩に備える。
• シール・バルブの向きと保護を確認。二重梱包・シールテープで補強。
緊急時カード(車内常備)
1) 危険種類(クラス)
2) 初期対応(消火・漏洩・吸収材)
3) 立入禁止範囲の目安
4) 連絡先(荷主・消防・警察)
5) 運転者の安全確保最優先(無理な消火はしない)

 

2. 精密機器(医療機器・計測機器・サーバ等)
輸送条件の把握
• 耐衝撃・耐振動の許容値(例:◯G、◯Hz帯NG)を荷主仕様書で確認。
• 方向性(上下・水平・縦横)と傾斜禁止の有無。チルト・インパクトインジケータを貼付。
• 温湿度:結露NG。防湿袋+乾燥剤、車内の急冷・急加熱を避ける。
積み方・固定
• フローティング(浮かせる):緩衝材(発泡・エア)+板で面支持。点で押さえない。
• 上締め禁止指定なら直締め+角当て+治具で“押さえずに動かない”を作る。
• 微振動対策:段差・橋梁の継ぎ目で速度を落とす。低速・なだらか運転が最大の緩衝材。
ハンドリング
• 水平器で水平確認。搬入路の段差・傾斜はスロープを用意。
• 静電気対策(ESD):導電靴・リストストラップ、乾燥季は特に注意。

 

3. 長尺物(鋼材・配管・木材・サッシなど)
計画と法令の枠組み
• 全長・はみ出し長・幅・高さの法規チェック。必要時は表示・誘導・事前申請等を荷主と協議。
• 重心と撓み:3点以上支持を基本に、中間支持を増やして跳ねを抑える。
積み方・固定
• チョックとラッシングの対角固定。角保護を徹底。
• 端部マーキング:赤旗・反射で可視化。夜間は灯火。
• 横ズレ防止:ゴムマット+側板。束ね結束でばらけ防止。
走行と取り回し
• 内輪差・オーバーハングを意識した大回り。低速・広い交差で歩行者安全を最優先。
• 搬入先の旋回・天井高・エレベータサイズを事前確認。

 

4. 混載禁止・分離保管の考え方
• 危険物×食品/日用品:原則分離。
• 精密機器×長尺:接触・圧迫・落下の組み合わせを避けるため区画を分ける。
• 臭気強い品×吸着しやすい品:同載しない。

 

5. 現場テンプレ
• 危険物チェックシート:SDS入手/UN番号・クラス/票札貼付/区画分離/トレー準備/吸収材・中和剤/緊急カード搭載。
• 精密機器チェック:チルト・ショック指示/固定方法(直締めor治具)/緩衝材配置図/温湿度条件/静電対策/搬入導線図。
• 長尺チェック:支持点数/端部表示/経路幅・高さ/人員手配(押さえ・誘導)/雨天時養生。

 

6. 事故ゼロに近づくKPI
• 危険物の票札不備率
• 精密機器の再調整・初期不良率(輸送起因)
• 長尺の端部接触・擦過傷件数
• ヒヤリハット投稿数(量×質)

 

まとめ
ハイリスク貨物は「情報を集める→型で積む→静かに運ぶ→語れる記録」。現場の“当たり前”を書式と治具で固定化すれば、事故は減り、作業者の不安も減ります。次回は共同配送・混載・路線便の活用。“小口でも安く・早く”を実現する設計に踏み込みます。

 

________________________________________
次回予告(第11回): 「共同配送・混載・路線便の活用」——ハブ&スポークの設計、デポ運用、ラストマイル接続、コスト式とKPIまで徹底解説。

 

apple-touch-icon.png

第23回運送業雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社田仲商事、更新担当の中西です。

 

コールドチェーンのキモは「温度を下げること」ではなく、“狙った温度を崩さずに届けること”。冷やし過ぎも立派な品質劣化です。ここでは、冷蔵(おおむね0~7℃)、冷凍(-18℃以下目安)、定温(10~20℃帯など)を扱う現場での積み方・運び方・記録の型を徹底解説します。

 

1. まず決めるのは“温度帯×時間”⏱️
• 温度帯:製品仕様書の「保管・輸送温度」を最優先。野菜は0~10℃帯でも低温障害が出る種類(バナナ・キュウリ等)に注意。乳製品・精肉は狭い帯域で管理。
• 時間:積込→走行→荷降ろしの温度暴露時間を足し算で見積もり、最悪ケース(渋滞・待機)も含めた余裕を確保。

 

2. 事前準備が8割:プリクーリングと積込設計
• 車両プリクール:出庫15〜30分前から設定温度で運転。庫内サーモが安定してから積み込む。扉開閉で温度が跳ねやすい夏場は+5分。
• 製品の芯温:冷えていない荷を冷凍車で冷やすのはNG。“運ぶ”車で“冷やす”ことはできないのが原則。
• 積込順:扉側は最後に降ろすもの。温度に敏感な品は前方(冷気吹き出し側)へ。混載時は温度帯ごとに区画。
• 通気の確保:蒸発器(エバポレータ)の吹き出し・吸い込みをふさがない。壁面ベタ付けは禁物。スノコ・空間で冷気循環を保つ。

 

3. ドア開閉の作法
• 開ける回数を減らす:配送順に近い順→遠い順で手前に配置。扉1回の開閉は数分の吹きこぼしに相当。
• カーテン・パーテーション:ソフトカーテンで冷気漏れを軽減。多温度帯混載は仕切り板で区画化。
• 荷降ろし台車の先行配置:事前に扉近くへ寄せ、滞在秒数を削る。⏳

 

4. 記録と可視化:温度は“語れる”ようにする
• 温度ロガー:庫内の前・中・後に設置。製品に近い位置の疑似負荷(ゲルパック)で芯温寄りの挙動も見る。
• 点検頻度:出庫時/最初の納品後/中盤/帰庫直前。温度逸脱時は理由と是正(ドア開放長い、積込遅れ等)を併記。
• 帳票テンプレ:
o 日付/車番/設定温度/外気温/プリクール開始時刻
o 測定時刻/庫内前中後温度/イベント(積込/荷降ろし)
o 逸脱の有無/是正措置/最終判定(適合/要注意)

 

5. 冷蔵:乾き過ぎ・結露を防ぐ
• 乾燥対策:直風回避(風防シート)で葉物の乾燥を抑制。濡れ段ボールは強度低下→崩落の原因、吸湿シートを併用。
• 結露対策:搬入先の温湿度差で汗をかく。内袋+緩衝材で外箱保護。開封前に徐冷(数分)で温度差ショックを緩和。

 

6. 冷凍:再凍結は品質劣化の近道
• -18℃基準をキープ。解け/再凍結は氷結晶の成長を招きドリップ増加。
• 箱の強度:低温で脆くなる素材はベルト面圧に注意。角当て+添え板で面圧分散。
• 霜(フロスティング):扉開閉の湿気流入で霜が増える。除霜サイクルを把握し、積み過ぎで吸い込み塞ぎを回避。

 

7. 定温:化粧品・飲料・チョコ・ワインなど
• 温度帯明確化:10~20℃など。直射日光・熱源隣接を避ける。
• 振動・におい移りに敏感な製品は隔離区画に。香料強い品との同載はNG。

 

8. 混載のルール(温度×におい×衛生)
• におい移り:魚介・洗剤・香辛料と乳製品・菓子類は分離。
• 交差汚染:生鮮(未包装)と加工食品は区画分離。万一の液漏れを想定して下段にトレー。
• 清掃:日次の床・排水・ラダー、週次の壁・天井・エバポ周り。臭気の蓄積はクレームの元。

 

9. 積み方の基本(冷気の流れを殺さない)
• 壁面から10cm以上離す。床スノコで下からの回流を確保。
• 天井までの積み上げ禁止:吹き出し流が回らない。上部に層流空間を残す。
• 混載パレットは軽い×冷気を通す箱を上段へ。

 

10. すぐ使える現場テンプレ
• プリクール手順:設定温度→送風強→タイマー起動→庫内3点温度計測→出庫OKサイン。
• ドア開閉ルール:1回開放は60秒以内/荷物は手前に事前寄せ/開けたら言う(声かけ)。
• 異常時の連絡:「庫内温度が設定+5℃を超過。原因:待機30分。是正:荷降ろし順入替・ドア開閉最小化・カーテン使用。ETA再計算〇〇。」

 

11. KPIと監査
• 温度逸脱回数(便あたり)
• ドア開閉回数・開放平均秒数
• プリクール開始遵守率
• 清掃・除霜実施率/臭気クレーム件数

 

まとめ
温度管理は“冷やす技術”ד開けない運用”ד語れる記録”。物理(通気・断熱・熱移動)を味方に、積み方と手順を型化すれば、季節波動にもブレない品質が手に入ります。次回は危険物・精密機器・長尺物の取り扱いを安全第一で深掘りします。

 

apple-touch-icon.png