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月別アーカイブ: 2025年6月

第10回運送業雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社田仲商事、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~取り扱い~

ということで、輸送物の種類別の注意点と、現場で実践できる取り扱いの基本ルールについて詳しく解説します。

 

運送業において、最も基本でありながら最も重要なのが「輸送物の正しい取り扱い」です。丁寧に扱っているつもりでも、少しの油断で破損や汚損、誤配送などのトラブルが発生し、会社の信頼に大きな傷がつく可能性があります。


◆ なぜ「取り扱い」が重要なのか?

  • 荷物の状態はそのまま「企業の品質」と見なされる

  • クレームや賠償につながるトラブルの大半は「ヒューマンエラー」

  • 1件の損傷が長期契約の打ち切りや信用失墜につながる

つまり、「無事故・無破損」で届けることが、プロの運送業の絶対条件です。


◆ 荷物の種類別 取り扱いのポイント

◎ 精密機器・電子部品

  • 振動・衝撃・温度に弱いため、2重緩衝・固定が基本

  • 積み下ろしは手作業でゆっくりと

  • 荷崩れ防止の「すべり止めマット」使用が推奨される

◎ 冷凍・冷蔵食品

  • 保冷車の庫内温度管理を配送中も定期チェック

  • 荷下ろし後はすぐに所定の保管場所へ

  • 時間・温度管理が記録されていることが多く、ログ保持が重要

◎ ガラス・陶器・美術品

  • 「われもの注意」「上積み厳禁」の表示とともに水平固定

  • 走行中の振動を想定し、サスペンションの確認も行う

  • 梱包材の強度と密着度合いに注意

◎ 建築資材・重量物

  • 重量バランスに配慮し、偏重積載を避ける

  • フォークリフト操作時には角当て・スリップ防止具を使用

  • 固定ベルトは摩耗・破損チェックを出発前に


◆ 輸送時のトラブルとその予防策

トラブル事例 原因 予防策
配送中の破損 積み方不良・固定不足 荷役マニュアルの徹底、事前の積載訓練
荷物の取り違え ラベル確認不足 ダブルチェック体制、積み込み前の点呼
誤配送・遅延 指示書確認不足 ナビ設定+手書き控えの併用、進行ルート再確認
荷崩れによる二次破損 急ブレーキ・旋回による不安定荷重 ストレッチフィルム・固定具の徹底使用

◆ 安全な取り扱いのための社内ルール構築

  1. 荷物別マニュアルの作成
    – 写真付きで、積み方・降ろし方・固定方法を明示。

  2. 定期研修・新人教育の徹底
    – 模擬積載訓練、破損事例の共有を実施。

  3. 点呼時チェックリスト導入
    – 積載状況・固定具・ラベル・配送先の再確認。

  4. 荷主との連携体制
    – 引き渡し時の状態チェック・報告体制を整備。


◆ 荷物の扱いが信頼を作る

運送業は「荷物を届ける」だけでなく、「荷主の信用を一緒に運んでいる」仕事です。その信頼は、日々の小さな配慮と丁寧な荷扱いによって築かれます。

荷物一つ一つに「届け先の人の期待」が詰まっているという意識を持ち、安全・正確・丁寧な作業を習慣にしましょう。それが、選ばれる運送会社への第一歩です。

 

 

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第9回運送業雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社田仲商事、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~保険~

ということで、運送業に必要な保険の種類と、それぞれのポイントについて体系的に解説します♪

 

運送業は、常に「車両」「貨物」「人」「取引先」と関わる複雑な業務体系の中で、多くのリスクを抱えています。万が一の事故やトラブル時、その損害は1件あたり数百万円から、場合によっては1億円を超えるケースも。そこで不可欠なのが「保険によるリスク分散」です。


◆ 運送業に必須の保険4分類

1. 自動車保険(事業用・営業ナンバー車両)

  • 対人・対物・搭乗者・車両の損害をカバーする基本保険。

  • 事故頻度の高い業種のため、保険料は割高傾向。

  • フリート契約(車両5台以上)で保険料の一括管理が可能。

2. 貨物賠償責任保険

  • 運送中の荷物の破損・紛失・盗難などによる損害賠償リスクに対応。

  • 積荷の性質(精密機器・食品・美術品など)に応じた補償が必要。

  • 荷主との契約内容に保険加入が義務付けられている場合も多い。

3. 運送業者賠償責任保険

  • 誤配・誤納・遅配・積み下ろし時の事故など、業務遂行中のミスに対する損害補償。

  • 荷主との信頼関係維持に直結するリスク対策。

  • 小規模でも加入を検討すべき「信用保険」とも言える。

4. 労災上乗せ保険・業務災害補償保険

  • ドライバーや倉庫作業員が業務中に事故や病気になった場合の補償を充実化。

  • 法定の労災だけではカバーできない「休業補償」や「死亡保険金」を追加。

  • 離職防止・採用時の信頼感向上にもつながる。


◆ 加入時のチェックポイント

  1. 保険の対象と補償範囲を明確に
    – 車両単位なのか、ドライバー個人なのか、積荷全体か。

  2. 補償額と免責金額のバランス
    – 補償額が低すぎると、事故後に自腹で賠償することも。
    – 免責(自己負担)設定で保険料を調整することも可能。

  3. 業種・取引内容に合った保険設計
    – 冷凍・冷蔵輸送、医薬品配送、建設資材運搬などの特約設定も必要。


◆ 実際のトラブル事例と保険の効力

  • 事例1:高速道路上で多重事故を起こし、積荷が全損 → 車両保険+貨物保険で全額補償

  • 事例2:誤納品で取引先に損害が発生 → 運送賠償保険で示談解決

  • 事例3:新人ドライバーが積み下ろし中に腰を負傷 → 労災上乗せ保険で休業中の所得補填

保険加入がなければ、すべて会社の「持ち出し」となり、経営が傾く事例も少なくありません。


運送業にとって保険は、「事故後に備える」ためだけでなく、「企業としての信頼と継続性を守る」ための戦略です。車両保険・貨物保険・賠償責任保険・労災補償と、全体のバランスを見て必要な補償を整えることが、結果的に経営安定へとつながります。

保険はコストではなく「経営の守りの投資」と捉え、定期的な見直しと組み合わせ設計を心がけましょう。

 

 

 

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