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第23回運送業雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社田仲商事、更新担当の中西です。

 

コールドチェーンのキモは「温度を下げること」ではなく、“狙った温度を崩さずに届けること”。冷やし過ぎも立派な品質劣化です。ここでは、冷蔵(おおむね0~7℃)、冷凍(-18℃以下目安)、定温(10~20℃帯など)を扱う現場での積み方・運び方・記録の型を徹底解説します。

 

1. まず決めるのは“温度帯×時間”⏱️
• 温度帯:製品仕様書の「保管・輸送温度」を最優先。野菜は0~10℃帯でも低温障害が出る種類(バナナ・キュウリ等)に注意。乳製品・精肉は狭い帯域で管理。
• 時間:積込→走行→荷降ろしの温度暴露時間を足し算で見積もり、最悪ケース(渋滞・待機)も含めた余裕を確保。

 

2. 事前準備が8割:プリクーリングと積込設計
• 車両プリクール:出庫15〜30分前から設定温度で運転。庫内サーモが安定してから積み込む。扉開閉で温度が跳ねやすい夏場は+5分。
• 製品の芯温:冷えていない荷を冷凍車で冷やすのはNG。“運ぶ”車で“冷やす”ことはできないのが原則。
• 積込順:扉側は最後に降ろすもの。温度に敏感な品は前方(冷気吹き出し側)へ。混載時は温度帯ごとに区画。
• 通気の確保:蒸発器(エバポレータ)の吹き出し・吸い込みをふさがない。壁面ベタ付けは禁物。スノコ・空間で冷気循環を保つ。

 

3. ドア開閉の作法
• 開ける回数を減らす:配送順に近い順→遠い順で手前に配置。扉1回の開閉は数分の吹きこぼしに相当。
• カーテン・パーテーション:ソフトカーテンで冷気漏れを軽減。多温度帯混載は仕切り板で区画化。
• 荷降ろし台車の先行配置:事前に扉近くへ寄せ、滞在秒数を削る。⏳

 

4. 記録と可視化:温度は“語れる”ようにする
• 温度ロガー:庫内の前・中・後に設置。製品に近い位置の疑似負荷(ゲルパック)で芯温寄りの挙動も見る。
• 点検頻度:出庫時/最初の納品後/中盤/帰庫直前。温度逸脱時は理由と是正(ドア開放長い、積込遅れ等)を併記。
• 帳票テンプレ:
o 日付/車番/設定温度/外気温/プリクール開始時刻
o 測定時刻/庫内前中後温度/イベント(積込/荷降ろし)
o 逸脱の有無/是正措置/最終判定(適合/要注意)

 

5. 冷蔵:乾き過ぎ・結露を防ぐ
• 乾燥対策:直風回避(風防シート)で葉物の乾燥を抑制。濡れ段ボールは強度低下→崩落の原因、吸湿シートを併用。
• 結露対策:搬入先の温湿度差で汗をかく。内袋+緩衝材で外箱保護。開封前に徐冷(数分)で温度差ショックを緩和。

 

6. 冷凍:再凍結は品質劣化の近道
• -18℃基準をキープ。解け/再凍結は氷結晶の成長を招きドリップ増加。
• 箱の強度:低温で脆くなる素材はベルト面圧に注意。角当て+添え板で面圧分散。
• 霜(フロスティング):扉開閉の湿気流入で霜が増える。除霜サイクルを把握し、積み過ぎで吸い込み塞ぎを回避。

 

7. 定温:化粧品・飲料・チョコ・ワインなど
• 温度帯明確化:10~20℃など。直射日光・熱源隣接を避ける。
• 振動・におい移りに敏感な製品は隔離区画に。香料強い品との同載はNG。

 

8. 混載のルール(温度×におい×衛生)
• におい移り:魚介・洗剤・香辛料と乳製品・菓子類は分離。
• 交差汚染:生鮮(未包装)と加工食品は区画分離。万一の液漏れを想定して下段にトレー。
• 清掃:日次の床・排水・ラダー、週次の壁・天井・エバポ周り。臭気の蓄積はクレームの元。

 

9. 積み方の基本(冷気の流れを殺さない)
• 壁面から10cm以上離す。床スノコで下からの回流を確保。
• 天井までの積み上げ禁止:吹き出し流が回らない。上部に層流空間を残す。
• 混載パレットは軽い×冷気を通す箱を上段へ。

 

10. すぐ使える現場テンプレ
• プリクール手順:設定温度→送風強→タイマー起動→庫内3点温度計測→出庫OKサイン。
• ドア開閉ルール:1回開放は60秒以内/荷物は手前に事前寄せ/開けたら言う(声かけ)。
• 異常時の連絡:「庫内温度が設定+5℃を超過。原因:待機30分。是正:荷降ろし順入替・ドア開閉最小化・カーテン使用。ETA再計算〇〇。」

 

11. KPIと監査
• 温度逸脱回数(便あたり)
• ドア開閉回数・開放平均秒数
• プリクール開始遵守率
• 清掃・除霜実施率/臭気クレーム件数

 

まとめ
温度管理は“冷やす技術”ד開けない運用”ד語れる記録”。物理(通気・断熱・熱移動)を味方に、積み方と手順を型化すれば、季節波動にもブレない品質が手に入ります。次回は危険物・精密機器・長尺物の取り扱いを安全第一で深掘りします。

 

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